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— サルコペニア肥満 —

監修:金 憲経
東京都健康長寿医療センター自立促進と介護予防研究チーム 研究部長

サルコペニア肥満とは?

サルコペニアは「筋肉量の減少」を意味し、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を悪化させる原因となる肥満とは結び付けられていませんでした。しかし近年、サルコペニア(筋肉量の減少)と肥満(体脂肪の増加)が重なった状態である「サルコペニア肥満」を危惧する声が増えてきました。 サルコペニア肥満は次のように定義されています。

  • 体脂肪率32%以上で骨格筋が5.67kg/m²以下
  • 体脂肪率32%以上で握力が18.0kg未満
    または歩行速度が1.0m/s未満

サルコペニア肥満は年齢が上がるほど増え、基本的に女性の方が筋肉量が少なく脂肪量が多いため、サルコペニア肥満になりやすいといわれています。

サルコペニア肥満の危険性

サルコペニア肥満は、通常の肥満よりも生活習慣病などにかかりやすく、運動能力、特に歩行能力を低下させるため、寝たきりになるリスクを高めます。
また若いころと体重や体型があまり変わらずBMI(体格指数)が標準でも、筋肉だった部分が脂肪に置き換わっている「隠れサルコペニア肥満」も問題になっています。
隠れサルコペニア肥満は、体重や体型があまり変わらないため、外見上は気づきにくいことが多く、発見が遅れがちで、気づかないうちに生活習慣病などが進行しやすくなっています。
高齢者だけでなく、食事制限ダイエットや運動不足によって、若い人たちにも予備軍が見られます。食事を制限すると身体に必要な栄養素が減り、筋肉も衰えていきますが、筋肉が減少しても、脂肪は燃焼されずに体内に残ってしまうのです。

サルコペニア肥満の危険性

必須アミノ酸が筋タンパク質の合成に貢献

サルコペニア肥満である日本人高齢者女性の運動と栄養補助の効果を調べるために、70歳以上の139人に対してランダム化比較試験を行いました。対象者をランダムに(1)運動+栄養 (2)運動のみ (3)栄養のみ (4)健康教育のみの4グループに分け、3ヵ月間の体組成・血液成分・身体機能の変化を調査しました。

●概要
試験期間: 3ヶ月
試験方法: ○運動: 週2回、1回当たり60分の筋力強化運動(自重体操、椅子体操、バンド体操、油圧マシンを用いた運動)と自転車エルゴメーターによる有酸素運動
  ○栄養: 茶カテキン540mgおよび必須アミノ酸3.0g
●結果

(1)運動+栄養 は体組成・血液成分・身体機能に良い効果をもたらしました。しかし、「体脂肪率+筋力」または「体脂肪率+身体機能」の複合的な改善は観測されず、今後大規模かつ長期的な調査が必要と結論づけられています。

必須アミノ酸が筋タンパク質の合成に貢献

研究論文はこちら 

サルコペニア・サルコペニア肥満のチェック方法

サルコペニアやサルコペニア肥満である可能性は、脂肪量(BMI値)、筋肉量、握力の3つによってチェックすることができます。

脂肪量(BMI)

BMI(Body Mass Index/ボディ・マス・インデックス)とは、肥満度を表す指標です。肥満の基準は国によって異なり、日本肥満学会はBMIが25以上の場合を肥満と定めています。 BMIが25以上の場合は、サルコペニア肥満の可能性があります。

  • BMI = 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
BMI 肥満度判定
18.5未満 低体重(やせ)
18.5〜25未満 普通体重
25〜30未満 肥満(1度)
30〜35未満 肥満(2度)
35〜40未満 肥満(3度)
40以上 肥満(4度)

出典:日本肥満学会

(例)身長160cm/体重65kgの場合 : 65 ÷ 1.6 ÷ 1.6 = 25.39

筋肉量

人間の筋肉量を正しく測ることは難儀であり、一体どの程度減少した状態を筋肉量低下と判断するかは困難な側面もあります。一般的には、骨格筋量( 腕の筋肉量+ 脚の筋肉量, kg) を身長×身長(m2)で除した骨格筋量指数を算出し、健康な若者(18~40歳)の平均値より標準偏差の2倍以上低い場合を筋肉量の減少と判断します。

筋肉量減少と判断できる目安であるカットオフ値は、DXA法では男性5.72~7.40 kg/m2の範囲、女性4.59~6.40 kg/m2の範囲ですが、ヨーロッパのサルコペニアワーキンググループ(EWGSOP)は、DXA法で男性7.26kg/m2、女性5.45kg/m2、BI法で男性8.87kg/m2、女性6.42kg/m2の使用を、アジアのサルコペニアワーキンググループ(AWGS)は、DXA法で男性7.0kg/m2、女性5.4kg/m2、BI法では男性7.0kg/m2、女性5.7kg/m2の使用を推奨しています。
簡易的に筋肉量を測定できる市販の体脂肪計もあるほか、サルコペニアを早期発見するための自己評価法「輪っかテスト」もおすすめです。

握力

握力

握力が衰えてくることは、体力の低下とも関連しており、握る、持つ、といった動作がうまくできなくなると、日常生活で困る場面が増えてきます。
握力が男性30kg、女性20kg未満の場合、サルコペニアの可能性があります。

食事と運動でサルコペニア肥満を予防

サルコペニア肥満の予防には、筋肉を育てて脂肪を燃焼させる運動や食事を摂ることが効果的です。
いくつになっても、食事で必要な栄養をきちんと摂って体を動かすことが、健康維持のための両輪なのです。

  • カロリーは控えめに、野菜とともに肉や魚、乳製品などいろいろなものをバランスよく食べることで、筋肉を作り出す良質なタンパク質を摂取することができます。とくに高齢になると動物性タンパク質の摂取が少なくなる傾向がありますが、肉や魚は筋肉をつくるために欠かせません。意識してとるように心掛けましょう。
  • ウォーキングをするときも、ただ歩くだけではなく、腕をしっかり振って歩きましょう。歩く速度に変化をつけたり、コースに坂道や階段を含めると、筋肉増強により効果的です。また筋肉を収縮させる「筋トレ」と、リラックスして伸ばす「ストレッチ」の組み合わせも効果的です。
    筋肉が伸びることで、血流も良くなります。