サルコペニアは、1989年にアメリカの学術雑誌ではじめて提唱された言葉で、ギリシャ語で筋肉を意味する「サルコ(sarx/sarco)=筋肉」と喪失を意味する「ペニア(penia)=喪失」を合わせた造語です。主に加齢により全身の筋肉量と筋力が自然低下し、身体能力が低下した状態と定義されており、「加齢性筋肉減弱現象」とも呼ばれています。
サルコペニアは、加齢による筋肉量減少が原因とされる一次性サルコペニアと、加齢以外が原因となる二次性サルコペニアに分類されます。
加齢性 サルコペニア |
加齢以外に明らかな原因がないもの |
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活動量に関連する サルコペニア |
寝たきり、不活発な生活習慣、体調不良、無重力状態が原因 |
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疾病に関連する サルコペニア |
重症臓器不全(心臓・肺・肝臓・腎臓・脳)、炎症性疾患、悪性腫瘍や内分泌疾患に付随するもの |
栄養に関連する サルコペニア |
吸収不良、消化管疾患、および食欲不振を起こす薬剤使用などに伴う、摂取エネルギーおよび/またはタンパク質の摂取量不足に起因するもの |
人の筋肉量は40歳を境にして徐々に減少していく傾向があり、60歳を超えるとその減少率は加速します。
サルコペニアは、タンパク質の摂取不足と運動量の減少によって、作られる筋肉よりも分解される筋肉の方が多くなることが原因です。
出典:「日本老年医学会雑誌 47巻1号(2010:1)
日本人筋肉量の加齢による特徴」を元に作図
サルコペニア:定義と診断に関する欧州関連学会のコンセンサス―高齢者のサルコペニアに関する欧州ワーキンググループの報告―の監訳 厚生労働科学研究補助金(長寿科学総合研究事業)高齢者における加齢性筋肉減弱現象(サルコペニア)に関する予防対策確立のための包括的研究 研究班 日本老年医学会雑誌 2012;49:788-805