年齢を重ねるにともない、食は細くなり、食欲を感じづらくなってきます。
食事そのものに対して関心が薄れ、食事を抜く回数が多くなったり、毎日同じものを食べ続けたりと、高齢者の食生活は乱れがちです。そうした食生活を長く続けることにより、体を健康な状態に保つために必要な栄養が不足し、低栄養へ陥るのです。
特に近年では、ひとり暮らし高齢者の食生活の乱れが深刻化しています。
食生活の特徴として挙げられるのは「食生活の若者化」です。20代ひとり暮らしの食生活と同じような「孤食」「メニューの偏り」「不規則化」によって、ひとり暮らし高齢者は家族と同居する高齢者よりも低栄養に陥りやすい状態にあります。
「低栄養」とは健康的に生きるために必要な量の栄養素が摂れていない状況をいいます。加齢にともなう筋力や筋肉量の減少はごく自然な老衰現象ではありますが、そこに「低栄養」が加わることで、「フレイル(虚弱)」へと状態を進行させ、サルコペニアやロコモティブシンドロームを引き起こす要因となります。「低栄養」は後期高齢者が要介護状態や寝たきりになる原因の一つとして重要視されています。
出典:平成30年 「国民健康・栄養調査」の結果
高齢者が低栄養状態へ陥る要因は次の通りです。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」